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モルガン・スタンレー:GPT4ベースの社内向けチャットボット、リリースへ

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米国の大手証券会社モルガン・スタンレーがフィナンシャル・アドバイザーを支援するチャットボット「AI@Morgan Staney Assistant」をリリースする話題です。

■ 「AI@Morgan Staney Assistant」概要
モルガン・スタンレーが社内向けに導入するチャットボットは、フィナンシャル・アドバイザー(FA)が、市場の最新状況や商品内容、社内手続き等を顧客に説明する際に参照できるツールで、いわば社内の専門家(エコノミストやストラテジスト、ファンド・マネージャー、業務エクスパートなど)の助言をいつでも受けられるデジタル体制を目指している。

背後には、OpenAI社が提供する大規模言語モデル:GPT4が使われている。GPT4にモルガン・スタンレーが保有するリサーチ・レポートや商品説明資料、社内手続きに関する書類などのノウハウをインプットすることで、FAの質問に応じて市況を解説したり口座開設の手続きを説明するなど、FAがそのまま使える具体的な回答が提示される。回答には出典(社内のどの資料や文書を参照したか)も付加される。

■ プロジェクトは2022年夏にスタート
ChatGPTに注目が集まったのは2022年12月以降だったが、モルガン・スタンレーは、2022年夏にOpenAI社との共同プロジェクトを開始、2023年3月にはGPT4を用いたプロジェクトが進行中であることを公表していた。

社内では、AI@Morgan Staney Assistantのテスト利用がFAや社内の専門家など300人規模で実施され、チューンアップが行われた。質問の内容によっては情報がなく「I don’t know」と回答されるケースもあるが、同様の質問が続く場合には、その分野の専門メンバーに質問が回送されて回答が作られる。報道によれば、間もなく正式リリースとなるようだ。

■ 人工知能の更なる活用
モルガン・スタンレーでは、その他の人工知能を活用したFAサポート・ツールとして、ミーティング内容を録音して議事録を作成したり(事前に顧客の了解を得る前提)、社内向けデータベースの更新(顧客の嗜好などを書込む)、更にはミーティングの会話を基にアドバイザーに対して顧客提案の原案やフォローアップ・メール原稿を作成する仕組みも開発中だという。

同社では、ウェルス・マネジメント顧客の接点は、今後とも(生身の)FAであることは変わりはないとし、背後にAIを活用することでFAが提供するサービスの質の向上とFAが顧客と接する時間を増やすことを狙っているとしている。全社利用が進んだ際にも狙い通りの評価となるのか、今後の動向が興味深い。